2008年 08月 28日
もう一度 |
( Rollei 35 SE, Sonar 40mm F2.8, Arista EDU Ultra 200 )
今月半ばより、新学年が始まった事はすでに以前のブログに書いた。我が家の子供達は小学校3年生と中学1年生となった。新学年の始まりに伴い、児童に転入転出に伴う多少の異動があった。驚いたのは転入転出以外に小学校で落第があった事だった。
2年生まで息子と同じ学年に居たJ君は、今年もう一度2年生をやり直すという。英語の読解能力を問われ、このような判断にしたと聞いている。息子も含め子供達は皆、J君がもう一回2年生を履修する事実はもちろん理由も知っている。ところが私から見る限り、やっぱりJは馬鹿だったから、などという風評は子供達の中からは全くみあたらない。どうやら淡々と事実が存在するのみで、人は人といった感じである。
そもそも我が家の息子も、年齢から言えば今年は4年生になっていなくてはならない。しかし私のビザの継続に問題が生じたときに日本へ3年間帰っていたため、日本の小学校からアメリカの学校への転校する際に、1年下の学年に落とすことにしたからだ。
我が家の息子に限らず、アメリカの学校は年齢と本来の履修学年が合致していない子供が多い。その理由は様々だ。であるから、J君がもう一年2年生を履修することとなっても、別段奇妙ではないのだ。
学習内容についてゆけないまま次々と年齢に応じて学年が上がって行けば、遅かれ早かれ完全に落ちこぼれてしまうであろう。しからばもう一度同じ学年を再履修させてでも、学習のチャンスを与える事の意義を私は深く感じるのだ。
しかし、である。いつも言う事で恐縮だが、ある国の制度がそのまま他の国で機能するかは別問題である。やはりこのような事が可能なのは、年齢と履修学年の一致しない子供達が多くいて、子供達もそれが不思議と思わない環境にあるから可能であると思うのだ。もし日本の小学校で落第し同じ学校に残ることがあれば、それは好奇のの目で見られるであろうし、あいつは馬鹿だ、と言う風評に即座に結びつくこと火を見るより明らかである。
ここで少々脱線を許していただく。
大学時代の話である。学則では一学年を2年以内に終了しないと退学処分となる。医学部は履修年限が6年であるので、各学年を表・裏と履修し続けると、入学から卒業まで都合12年かかることになる。
12年と言えば、干支ですら一周してしまうほど長きに渡る年月である。さすがにそんな学生は居るはずは無いと想像していた。あに図らんや、実在するのである。彼は2級酒の日本酒を鯨飲し、当時ですら遥か昔となった70年安保闘争真最中の活劇を、まるで昨日の話のように熱く語っていた。反体制革命的医学生であったと同時に、万年留年生でもあった。しかし当時我々は彼のことを、別段不思議とも何とも思っていなかった。微かに尊敬の念すらあったように覚えている。大学ゆえの特殊性であろう。
きっと今でも酔っては、どこかで70年安保の話をしているに違いない。
by goodsurgeon24hrs
| 2008-08-28 13:17
| 日常
|
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Comments(4)
そんな人がいました。しかもなぜか皆の尊敬の視線と蔑みの視線とを同時に受けていました。
もしかして、何年かの後に私が学生寮の話をすると同じような視線を浴びるのでは、いや、もうすでに……。
もしかして、何年かの後に私が学生寮の話をすると同じような視線を浴びるのでは、いや、もうすでに……。
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ricora-s at 2008-08-30 01:09
まさに、日本では考えられない小学生でのもう一度同じ学年を
やりなおす。そして、アメリカでは、さほど珍しいことでもない。
驚きました。国それぞれの教育の仕方があるのですね~。
分からないまま進むより、ちゃんと理解してから次のステップという
考えはいいことだと思いました。日本で、同じことをすると
どうなるのかと思いましたが^^;;
12年の歳月をかけて医学部卒業!
さらに、驚きました(笑)
やりなおす。そして、アメリカでは、さほど珍しいことでもない。
驚きました。国それぞれの教育の仕方があるのですね~。
分からないまま進むより、ちゃんと理解してから次のステップという
考えはいいことだと思いました。日本で、同じことをすると
どうなるのかと思いましたが^^;;
12年の歳月をかけて医学部卒業!
さらに、驚きました(笑)
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surgeon24hrs
at 2008-08-30 04:17
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surgeon24hrs
at 2008-08-30 04:23
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ricora-sさん、こんにちは。
私もricoraさんと同様の意見です。早くから躓いたままにしてしまうより、再挑戦のチャンスが自然な形で与えられるほうがいいのでは、と思います。
医師の国家試験は今でこそ一年に一回ですが、昔は春と秋の二回行われていました。大学を卒業してすぐ受かった人達を「桜組」、春に落ちて秋に受かった人達を「もみじ組」なんて読んでいました。でも「桜組」の中には何年もかかってたまたま「桜組」になった人たちも居ました :-)
私もricoraさんと同様の意見です。早くから躓いたままにしてしまうより、再挑戦のチャンスが自然な形で与えられるほうがいいのでは、と思います。
医師の国家試験は今でこそ一年に一回ですが、昔は春と秋の二回行われていました。大学を卒業してすぐ受かった人達を「桜組」、春に落ちて秋に受かった人達を「もみじ組」なんて読んでいました。でも「桜組」の中には何年もかかってたまたま「桜組」になった人たちも居ました :-)