2008年 04月 01日
脳内変換 |
( Bessa-R, Color-Skopar 35mm F2.5, fuji Neopan400 )
こちらでは民主党の大統領候補指名争いが泥沼化している。歴史上初の黒人大統領候補となるか、これまた歴史上初の女性大統領候補になるか、とマスコミも喧しい。
クリントンは今までの経験を売り物にし、オバマより大統領になる資質があると売り込んでいる。その一環として彼女がファーストレディーとして1996年にボスニアに行ったときの話しをした。彼女を乗せた飛行機は狙撃手が銃を撃つ中を空港に着陸した。予定されていた歓迎式典は中止となった。狙撃の只中を頭を低く下げ車に乗り込み、米軍基地に向かったという。なんとも凄まじいというか恐ろしい話である。やはり大統領となるべく人は、これくらいのことでは怯んではならないらしい。
テクノロジーの進歩は歴史の検証を格段に簡略化した。最近の出来事はもう古文書を紐解かなくても済む。1996年にクリントンがボスニアを訪れたときのテレビ映像が残っていた。空港では歓迎式典が催されている。クリントンや娘のテェルシーは笑顔。ボスニアの児童が現在は平和であると語っている。この訪問を取材していた記者は、当時のはボスニアが最も安全だったときだ、と証言している。当時国務省の高官だった人物も、狙撃主がいたという情報は無かった、と証言した。
ここまで証拠が揃い、クリントンは間違いを謝罪した。間違いを正すのも大統領の資質のうちか。
私の勝手な推測だが、クリントンは嘘をついたのではない。そんな安っぽい嘘を選挙戦の場に持ち出したのであれば、それこそ大統領候補者としての資質にかかわる。10余年の時の流れの中で、本人の脳のなかでは記憶がそのような形にいつの間にか歪められて保存されていたのだろうと想像する。したがって発言の張本人は、嘘をついているという意識は全く無かったはずだ。銃撃戦の中を頭を下げてそそくさと車に向かう武勇伝を思い出しては、自己陶酔に陥っていたのだろう。
脳の働きとは実に興味深いものがある。しかし、こんな風に経験を脳内変換してしまっては、大統領候補者としての資質の無さを自ら証明してしまったのではないだろうか。それとも、何でもこのように歪めて記憶してしまう能力が無ければ政治家など続けていられないということか。もしそのとおりであれば、彼女は良い大統領になれる。
彼女はたとえ民主党内での候補指名争いに敗れたとしても、引退後は共和党のマケインと大統領選本選を戦って僅差で敗れたような記憶にうっとりとして余生が過ごせるのではないか。人間幸せが一番。
by goodsurgeon24hrs
| 2008-04-01 04:32
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