たまには真面目に映画のお話 |
三月も半ばとなりました。日本ではそろそろ桜も話題に上がっているようですが、こちらはまだ起床時には気温はマイナスです。それでも日中の最高気温がマイナスに止まるようなことはなくなって来ました。
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高校生から浪人時代にかけて、新潮文庫で三島由紀夫を読み漁っていた時期があった。今となっては、果たしてどのような解釈をしながら読んでいたのか全く覚えていない。いや、解釈どころか、内容すらあやふやな作品もいっぱいある。お恥ずかしい限り。
今日は珍しく、真面目に映画の話。と言ってもへそ曲がりとしては、そんじょそこいらの映画の話はしない。
映画のタイトルは「Mishima : A life in Four Chapters」。1985年のアメリカ映画。
題名からも察することができる通り、三島由紀夫を題材にした映画だ。
しかしこれは、三島の伝記ではない。三島の実際の生活と彼の作品とが複雑に、そして巧妙に絡み合う、とても不思議で優美な独特の世界が展開される。
脚本家はアメリカ人。この人は徴兵を逃れるために日本にやって来た。その後、同志社大学と京都大学で教鞭もとった。夫人は日本滞在中に会った日本人である。この作品は、彼が日本語で書いている。
映画を見ると、この脚本家の三島由紀夫という人および彼の作品に非常に対する造形の深さがよくわかる。さもなくば、三島本人と作品とが複雑に絡み合う、このような巧みなモザイク状のストーリーに仕上げることは不可能であったに違いない。
出演者は全て日本人。三島由紀夫は緒形拳が演じている。若い時の沢田研二も登場し、とても妖艶な雰囲気を出している。
フランシス・コッポラとジョージ・ルーカスの二人がエグゼクティブプロデューサーとしてクレジットされているのも興味深い。
この耽美的な映画、私は大変に好きなのであるが残念ながら日本では見ることができない。三島夫人の反対と右翼団体の脅迫により、日本では公開も販売もされていないからだ。
本というのは、同じものでも後年に読み返して見ると常に新しい発見がある。三島作品、機会があったら読み返してみ流のも良いかもしれない、などということを考えている。(でも実行しないで終わるでしょうね)
<読了>
「回転木馬のデッドヒート」 村上春樹
お恥ずかしいながら、三島由紀夫をじっくりと読んだことがありません。外国の方の目線の三島由紀夫、いやもしかしたら日本人よりもよく理解してるかもしれないですね。外国の方の方が日本の素晴らしいところを理解する気持ちが大きいことはよくありますね。
私も20代のころ、三島はいくつか読みましたが
殆ど忘れてますヨ^^;中でも好きな作品は
豊饒の海の一巻目「春の雪」です。
耽美派と言われるゆえん、華麗な文体に憧れました。
他に印象に残っているのは「仮面の告白」
「午後の曳航」「金閣寺」とか。
山中湖にある「三島由紀夫文学館』にも行きました。
外国では彼は特に人気がある作家だと思いますが
アメリカ人が脚本を書いたドキュメンタリータッチの映画なんでしょうか。
見られなくて残念です。
フランシス・コッポラとジョージ・ルーカスというのもまた凄いですね。この頃フランシス・コッポラは別としてジョージ・ルーカスはまだ無名に近かったのではないでしょうか!?
「潮騒」は読後感がすごくいいです。悪人が出てこない。「午後の曳航」はたしか外国(フランス?)映画化されたのでは。観た記憶があります。(大分怪しいけど)
「春の雪」から「天人五衰」の最後の4部作もいいですね。硬質な文章で。
おっしゃるように外国人の方が日本人に気づかないようなところ、すばらいいことに気づくようなことってありますね。
そういえば、ドナルドキーン、先日お亡くなりになりましたね。
本文でも書きましたが、私も結構内容は忘れてしまっています。情けない。
豊饒の海の4部作は素敵ですね。三島文学の集大成という感じです。
この映画、なんともジャンルに当てはめにくい映画です。彼の実生活の話、作品の中のストーリー、そして実写の彼と、いろんなものがモザイク状になっているけど全体として三島由紀夫の世界がとてもうまく描かれている映画です。日本で観ることができないのは残念というしかありません。別に三島由紀夫を悪く扱ったり、批判したりしているのではないのですがねぇ。
緒形拳は三島のイメージとは少し違ってて私としてはちょっぴり残念かも。
沢田研二は小説の登場人物としての役柄なのですが、とても素敵です。今の姿とは想像もつかないですね。
そうなんですよ、驚きのコッポラとルーカスのクレジットが!
すごい人たちが名を連ねている映画です。
三島好きのオランダ人ですか。三島は世界的な作家でしたものね。
確かに「潮騒」は爽やかですね。山口百恵が主演で映画もできましたよね。「午後の曳航」の映画、私も見たことがあります。フランスでしたっけ?もう、そんなことも忘れてしまってます。えへへ。
豊饒の海の4部作は、彼の集大成という感じで、どれを取ってもいいですね。彼の文章読本を読むと、彼がどんなことに気をつけて書いているのかがわかり、すごい人だと唸らされます。