2012年 02月 18日
笑う葬式 |

(Polaroid SX-70. Impossible PX100 Silver Shade. Test film)
アメリカではユーモアがとても重要だ。重要さの度合いから言うと、これはもう三度の食事と同等の比率を占めるのではないかと思う時すらあるほどである。
例えば職探しをしているときに、前職の上司から「彼は大変にユーモアのセンスに富んでいて」などと言うようなことを書いてある紹介状をとりつけたなら、しめたもの。これは大変な褒め言葉なのである。
ユーモアのセンスに富むというような評価を受けるためには、その時の状況に適応した知性があるということが大前提となる。周りにいるものを愉快にさせ、自分を魅力的に見せ、そして最後はそれを武器に自分の意見を人に説得力あるものとして聞かせる、と言った多くの要素が「ユーモアのセンスに富む」という一言に含羞されているように思う。言うまでも無く、度が過ぎたり、他人を傷付けるようなことはご法度である。
私が昔研修医だったころ、上手なパブリックスピーチの方法に関する講義を受けさせられたことがある。その講義の中でもユーモアをどのように、そしてどの程度スピーチに取り入れるか、と言うのは重要な項目の1つであったと記憶している。
さてここからは起承転結で言う転に当たる。今日何気なくチャンネルサーフィンをしていると、Whitney Houstonの葬儀の様子をテレビで中継していた。登場したのは映画「Body Guard」で共演した俳優、Kevin Costner。当時と余り変わった風もなく、相変わらずハンサムなのは男として羨ましいこと限りないのであるが、私のごとき市井の一小市民がKevin Costnerと張り合ってもどうしようもない。
淡々と彼女に関しての逸話を語るのだが、そこは葬式と言えどもアメリカ。随所にユーモアがちりばめられ、参列者達が数分ごとに声を出して笑い始める。しかしスピーチをしているKevin Costner本人は、笑うどころかニコリともしない。大真面目に話してるのに可笑しい、それが最上級のユーモアなのだ。話す本人が笑ったりニッコリしたりしているうちは、まだまだ修行が足りていない。
たとえ葬儀でのスピーチであってもユーモアが大いに歓迎されるのである。これな何も芸能人の葬儀に限ったことではなく、昨年私の友人の葬儀に出席したときも、やはり同様であった。
葬儀であれ、結婚式であれ、企業のプレゼンテーションであれ、学会発表であれ、はたまた大統領選の演説であれ、人に話しを聞かせたければアメリカではユーモアを欠かすことが出来ない。
日本の葬儀でユーモアを含んだスピーチで参列者を笑わせるなどは、少々考えにくい。ともすると不謹慎であるとのそしりをの免れない。この辺の文化の相違はなかなか興味深い。誤解なきよう書き添えておくが、文化の違いである以上、どちらが良いか悪いかという論議はありえない。
死者の人となりをユーモアを交えて紹介しながら、皆で笑いながらハッピーにあの世に送り出してあげよう、という優しさなのだろう。非常に素敵なスピーチであった。
<今週の一枚>
" 夢がたり " 久保田早紀。 1979

SIDE A
1. プロローグ.........夢がたり
2. 朝
3. 異邦人
4. 帰郷
5. ギター弾きをみませんか
6. サラーム
SIDE B
1. 白夜
2. 夢飛行
3. 幻想旅行
4. ナルシス
5. 星空の少年
■
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by goodsurgeon24hrs
| 2012-02-18 17:41
| 日常
|
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Comments(6)
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そうですかぁ~ユーモアのセンスというのは、日本人の私には、かなり大人びた感覚だと感じますねぇ~
日本の場合は外聞を気にして、呑みこんでしまう場面が多々あると思います。
人というのは、亡くなった時に初めてその方のあれこれが浮き彫りになるコトが多いのかもしれませんね。
母が亡くなった時、私の知らない交友や母の姿を改めて知らされたようで、悲しみも勿論ありましたが、ちょっと誇らしくもありました。
前述でもそうですが、亡くなる時、ご自身で納得出来てふっと微笑む余裕があれは、それは最後まで生き切った…最高の人生であったというコトにもなるのでしょうね。
勿論、死というのは誰もが望む形ではないけれど、必ず臨むべき場面ですモノね。
そんな時、この世と明るくお別れ出来るように普段から徳を積んでおかなくちゃイケマセンね…。(>_<)
私もがんばろうォ~~!!
日本の場合は外聞を気にして、呑みこんでしまう場面が多々あると思います。
人というのは、亡くなった時に初めてその方のあれこれが浮き彫りになるコトが多いのかもしれませんね。
母が亡くなった時、私の知らない交友や母の姿を改めて知らされたようで、悲しみも勿論ありましたが、ちょっと誇らしくもありました。
前述でもそうですが、亡くなる時、ご自身で納得出来てふっと微笑む余裕があれは、それは最後まで生き切った…最高の人生であったというコトにもなるのでしょうね。
勿論、死というのは誰もが望む形ではないけれど、必ず臨むべき場面ですモノね。
そんな時、この世と明るくお別れ出来るように普段から徳を積んでおかなくちゃイケマセンね…。(>_<)
私もがんばろうォ~~!!

Nao☆さん、おはようございます。そちらは雪がちらついたりとかなり寒いと聞いていますが、いかがでしょうか。
スピーチに関して私がもう1つ思うことは、日本語はリズムなり語呂なり語感なりがユーモアを含めた演説にあまり適していないような感じがしますね。
有名人の葬式で、我々一般人が知ることの出来ないような、いわば「人間」としての生前の姿を語るスピーチに素敵なものが多い印象を受けます。今回のKevin Costnerのスピーチしかり、Michael Jackson のときのBrooke Shieldsのスピーチしかり。
Nao☆のおっしゃるとおりですね。私も頑張るとしますか! : )
スピーチに関して私がもう1つ思うことは、日本語はリズムなり語呂なり語感なりがユーモアを含めた演説にあまり適していないような感じがしますね。
有名人の葬式で、我々一般人が知ることの出来ないような、いわば「人間」としての生前の姿を語るスピーチに素敵なものが多い印象を受けます。今回のKevin Costnerのスピーチしかり、Michael Jackson のときのBrooke Shieldsのスピーチしかり。
Nao☆のおっしゃるとおりですね。私も頑張るとしますか! : )

話の中身とは全く関係ないのですが、久保田早紀のこのアルバム、めっちゃいいですよね!異邦人だけと思われがちですが、このアルバム全体のアレンジや楽曲の完成度はすばらしいですよね~。CDでているなら買い直したい気持ちになりました。後で調べてみます~

しきはんさん、こんばんは。
話の中身に関係あろうが無かろうが、皆さんのコメントは大歓迎ですヨ!!
ジャケット裏のクレジットを見たら、1979年のアルバムでした。彼女は自分でも曲を書いたりと、才能のある人だったと思いますが、意外と早くポシャちやったですね。残念。
いまどきのJ-POPの女性歌手のような、なんだか鼻にかかったキンキン高い声とは違って、しっとりと低めの声が素敵でした。
私のはLPですが、CDも出ているみたいですヨ。
話の中身に関係あろうが無かろうが、皆さんのコメントは大歓迎ですヨ!!
ジャケット裏のクレジットを見たら、1979年のアルバムでした。彼女は自分でも曲を書いたりと、才能のある人だったと思いますが、意外と早くポシャちやったですね。残念。
いまどきのJ-POPの女性歌手のような、なんだか鼻にかかったキンキン高い声とは違って、しっとりと低めの声が素敵でした。
私のはLPですが、CDも出ているみたいですヨ。
そういえばオバマ大統領でさえ何か演説するときはユーモアを入れてますね。クスっと笑えるような・・・
これはマズイだろうというネタでもサラっと笑えるようなセンスのいいユーモアは楽しいですもんね。
・・・日本じゃまだまだです(笑)。
お葬式で笑いをとるなんて、一部の芸人さんの葬儀じゃないと絶対ダメだろうし。
・・・
聞いた話ですが、ある猫好きさんのおばあさんの葬儀で、お坊さんの読経の際に空気よめない小さな子猫がその辺を走り回ったり、お経をあげてるお坊さんの背中に上ったりして、焼香客が笑いをこらえるのに必死だったってハナシがありました。
・・・相手が子猫ですから許されるんでしょうね、これは。
これはマズイだろうというネタでもサラっと笑えるようなセンスのいいユーモアは楽しいですもんね。
・・・日本じゃまだまだです(笑)。
お葬式で笑いをとるなんて、一部の芸人さんの葬儀じゃないと絶対ダメだろうし。
・・・
聞いた話ですが、ある猫好きさんのおばあさんの葬儀で、お坊さんの読経の際に空気よめない小さな子猫がその辺を走り回ったり、お経をあげてるお坊さんの背中に上ったりして、焼香客が笑いをこらえるのに必死だったってハナシがありました。
・・・相手が子猫ですから許されるんでしょうね、これは。

みるきぃさん、おはようございます。
そうなんですよね、チョイトきわどいネタでも、わざとユーモアとして取り入れて笑わせてしまうスピーチの技術ってのは、日本にはあまりない事ですよね。
お葬式のネコちゃんの話、いいですね。辛気臭くなるお葬式の場が和んで、丁度良かったでしょうね。ネコ好きだったおばあさんを笑いで送り出してあげるためのネコの恩返しかもネ! ; )
そうなんですよね、チョイトきわどいネタでも、わざとユーモアとして取り入れて笑わせてしまうスピーチの技術ってのは、日本にはあまりない事ですよね。
お葬式のネコちゃんの話、いいですね。辛気臭くなるお葬式の場が和んで、丁度良かったでしょうね。ネコ好きだったおばあさんを笑いで送り出してあげるためのネコの恩返しかもネ! ; )