2010年 05月 29日
訛り |
( The Arcade. Cleveland, Ohio )
( Zorki 1, Industar-22 50mm F3.5)
( Fuji Superia X-TRA 400)
どの地方にも方言があり、それは一つの立派に誇るべき文化を形成している。
私は神奈川県川崎市で育った。神奈川の方言で一番有名なのは「xxx でしょう」と言うところを「xxx じゃん」と言うことではないかと思う。そのほかにも色々あるが、神奈川弁はあまり品がよろしくないものが多い。
東京にしても東京弁が存在するわけであり、いわゆる標準語は東京の言葉ではない。
さて、地方によって方言ないし訛りが存在するのは、何も日本に限ったことではない。
私が初めて住んだ外国はイギリスだった。イギリスはイングランド、スコットランド、北アイルランド、ウェールズの4カ国から成り、このそれぞれの国が国王を国家元首とする連合王国であることは周知の如くである。私が住んでいたのはイギリスの西部に位置するウェールズだった。
このウェールズ、とにかく訛りがひどい。話す言葉全体に妙な抑揚があり、ウェールズ人以外の人たちが言うには「ウェールズ人は歌うように話す」と表現する。「歌うように話す」と言うのは非常にイギリス人らしい表現だ。誉めそやす言辞の裏には、侮蔑の気持ちが隠されている。実際に聞いてみるとわかるが、「歌うように」などと言う優美さとはかけはなれている。文章では表現できないが、要するに田舎の抑揚なのだ。
当時英語初心者であった私は、このウェールズ訛りには、本当に苦労させられた。
訛りに関して私の人生で忘れてはならないのは、津軽弁である。地元の人達いわく「津軽弁は京言葉に似た非常に優美な言葉」なのだそうである。しかし優美なことに関して常に最も遠い位置に身を置いている私には、津軽弁と京言葉の相似点は、大学卒業までの6年間についに見出すことが出来なかった。
当時私が唯一気付いたことは、同じ青森県の八戸出身の友人が、これまた少々異なる言葉を使うのだ。それが津軽弁とは異なる南部弁であることを知った。かつて津軽藩(津軽藩は通称。正式には弘前藩)と南部藩は犬猿の仲にあったようで、私の大学在籍当時ですら住民の感情としては津軽 vs 南部という図式がまぎれも無く存在していた。そして津軽の地においては何事においても「ここを何処と心得る。津軽為信公のお膝元であるぞ」というような感じで最終的な決着が付く。
当時津軽弁初心者であった私は、この津軽弁には、本当に苦労させられた。
南部弁と言って忘れられないのは、アメリカの南部弁である。アラバマ暮らしの私にとっては、現在の公用語は南部弁だ。
南部弁の特徴は、田舎特有のイントネーションもさることながら、二重母音が無いことである。例えば数字の9。ナインのはずが、ナーン。5ならばファイブではなくてファーブ。「私は犬が嫌いである」と言う時は、アイ・ヘイト・ドッグズではなくて「アーヘードー」。そして未来を表す I am going to のことは、I am fixing to と言うのである。初めてこれを聞いたときには、一体何を修理し始めるのかと思ったものだ。
以前コンピュータ技師であるアラバマでの隣人と話をしていた。彼曰く「全米会議などに出て行ってどんなに難しいことを発言しても、南部弁のせいで知能が低く見られる」と冗談を言っていた。やはり二重母音のない英語は、聞いていてどうも「しまり」がない。
私がアラバマに来たのが2001年。当時南部弁初心者であった私は、この南部弁に、本当に苦労させられた。
さて、この先もどこかへ引っ越して言葉に苦労することがあるのだろうか?
by goodsurgeon24hrs
| 2010-05-29 08:44
| 日常
|
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Comments(10)
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papavolvol
at 2010-05-30 00:04
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最近は会議などでも、インド人の占める人数が増えてきているように思えます。以前はボストン出身者は早口だと言われていましたが、インド人の英語は訛りがきつくてしかもとても早口です。ボストン出身のアメリカ人でさえ、インド人には何度も聞きなおすのですが、インド人はお構い無しで熱弁をふるいます。
とは言っても、私の場合には、goodsurgeon24hrsのように、聞き取れなくても命にかかわるような事はないのですが。(笑)
とは言っても、私の場合には、goodsurgeon24hrsのように、聞き取れなくても命にかかわるような事はないのですが。(笑)
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こんにちは。
訛り、僕も悩まされます。ロンドンだと先ず筆頭はコックニー(下町の言葉)です。インド訛りは接触する機会の多さから、だいぶ聞き取れる様になりました。スコットランド訛りは、未だ苦手。先生のおられたウエールズ訛りは未だ未知の世界です。同じイングランド内でも、マンチェスターとかリバプールとか、ロンドンから離れると、やはり発音や抑揚がずいぶんと変わって来ますね。米国の訛りはあまり馴染んでいないので、やっぱり僕には苦しいと思います。英国にいると米国人は早口に感じますね。発音もブリティッシュ英語と比べると全然違います。特に"R"の発音の違いが際立ちます。
訛り、僕も悩まされます。ロンドンだと先ず筆頭はコックニー(下町の言葉)です。インド訛りは接触する機会の多さから、だいぶ聞き取れる様になりました。スコットランド訛りは、未だ苦手。先生のおられたウエールズ訛りは未だ未知の世界です。同じイングランド内でも、マンチェスターとかリバプールとか、ロンドンから離れると、やはり発音や抑揚がずいぶんと変わって来ますね。米国の訛りはあまり馴染んでいないので、やっぱり僕には苦しいと思います。英国にいると米国人は早口に感じますね。発音もブリティッシュ英語と比べると全然違います。特に"R"の発音の違いが際立ちます。
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surgeon24hrs
at 2010-05-30 20:56
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papavolvolさん、おはようございます。
私もインド人の英語はよくわかりません。独特の発音と抑揚で、理解するのは難しいですね。彼らはthの発音がtになるようです。
インドも広く、国内に何種類もの言語が存在するので、キットインドの何処の出身かによっても訛りが違うのでしょう。
と、人のことばかりは行っていられなくて、私の訛りも人々を悩ましているに違いありません : (
私もインド人の英語はよくわかりません。独特の発音と抑揚で、理解するのは難しいですね。彼らはthの発音がtになるようです。
インドも広く、国内に何種類もの言語が存在するので、キットインドの何処の出身かによっても訛りが違うのでしょう。
と、人のことばかりは行っていられなくて、私の訛りも人々を悩ましているに違いありません : (
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surgeon24hrs
at 2010-05-30 21:04
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Dr. Ken、おはようございます。
そうですね、コックニーはかなり強烈ですよね。エイがアイになりますね。
スコットランドも、私は苦手。特にグラスゴー弁というのがダメです。
なんていってる私の言葉も相当に人々を悩ませているはず。私は「訛りやアクセントは、一生かかってもなくならない」という結論に達したので、「私の話を聞かないと困るヤツは、そっちで努力しろ」ってな高慢な態度で暮らしております :D
そうですね、コックニーはかなり強烈ですよね。エイがアイになりますね。
スコットランドも、私は苦手。特にグラスゴー弁というのがダメです。
なんていってる私の言葉も相当に人々を悩ませているはず。私は「訛りやアクセントは、一生かかってもなくならない」という結論に達したので、「私の話を聞かないと困るヤツは、そっちで努力しろ」ってな高慢な態度で暮らしております :D
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maou2929s at 2010-05-31 00:50
surgeon24hrsさんこんばんは
自分は川崎の隣町鶴見で生まれ育ちましたのでバリバリの浜っこ
とはちょっっと言い難いですが
まぁ一応浜っこにしておいて(笑
自分の奥さんは福島県は郡山市
出身なんで方言とか訛りは
やはり東北地方なので有りますね
奥さん方の親戚にあった時は
最初何を言っているのか分かりまでんでした(⌒-⌒; )
隣で奥さんが通訳してくれて
いましたよ(笑)
何年か前に東北に半年程住んでいた時はすっかり自分も訛っていました(爆)
その方が相手にも通じると
不思議ですよねぇ(⌒-⌒; )
今はすっかり元に戻りましたけどぉ東北弁を聞くと落ち着くのは
何だろうか(笑)
自分は川崎の隣町鶴見で生まれ育ちましたのでバリバリの浜っこ
とはちょっっと言い難いですが
まぁ一応浜っこにしておいて(笑
自分の奥さんは福島県は郡山市
出身なんで方言とか訛りは
やはり東北地方なので有りますね
奥さん方の親戚にあった時は
最初何を言っているのか分かりまでんでした(⌒-⌒; )
隣で奥さんが通訳してくれて
いましたよ(笑)
何年か前に東北に半年程住んでいた時はすっかり自分も訛っていました(爆)
その方が相手にも通じると
不思議ですよねぇ(⌒-⌒; )
今はすっかり元に戻りましたけどぉ東北弁を聞くと落ち着くのは
何だろうか(笑)
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surgeon24hrs
at 2010-05-31 08:57
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魔王さん、こんばんは。
鶴見はナンだろう? ツルッ子? いや、これじゃなんだかハゲみたいだな...... :D
実は私は女性が方言で話しているのを聞くのが好きなのです。津軽弁にしろ、ウェールズ弁にしろ、アラバマ弁にしろ、女性が使っていると、とてつもなくチャーミング。
と思っていたら、ビーチボーイズのカリフォルニア・ガールズと言う曲に南部の女の子の話し方がチャーミングだ、と言う歌詞が出て来るのですよ :D
やはり方言は文化。大切にしたいものです。
鶴見はナンだろう? ツルッ子? いや、これじゃなんだかハゲみたいだな...... :D
実は私は女性が方言で話しているのを聞くのが好きなのです。津軽弁にしろ、ウェールズ弁にしろ、アラバマ弁にしろ、女性が使っていると、とてつもなくチャーミング。
と思っていたら、ビーチボーイズのカリフォルニア・ガールズと言う曲に南部の女の子の話し方がチャーミングだ、と言う歌詞が出て来るのですよ :D
やはり方言は文化。大切にしたいものです。
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みるきぃ
at 2010-05-31 10:36
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アメリカの南部弁はアメリカのドラマでよくお目にかかります。
ものすごい訛だ!とおもいます。
南部出身の黒人の方のしゃべり方もそうなんですよね、確か。
DVD見ながらわかりにくいなぁーとボヤきます。
日本語でも地方の言葉はさっぱりわからない・・・
小さな国なのに・・・(笑)。
ものすごい訛だ!とおもいます。
南部出身の黒人の方のしゃべり方もそうなんですよね、確か。
DVD見ながらわかりにくいなぁーとボヤきます。
日本語でも地方の言葉はさっぱりわからない・・・
小さな国なのに・・・(笑)。
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surgeon24hrs
at 2010-06-01 00:53
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みるきぃさん、おはようございます。
そうですね、結構映画に登場しますよね。私が見た映画の中で、コリャ正真正銘、超弩級のアラバマ弁だわ、と思ったのが「Crazy in Alabama」に登場する主人公の男の子。こいつぁ、ホントすごいアラバマ弁。結構イイ映画でした。
大学時代の笑い話ですが、私のいた青森県の弘前大学から何人かが鹿児島に学会に出席するために出かけました。夜、飲み屋で彼らが大声で津軽弁で話をしていたら隣の席の知らない人がツカツカと寄ってきて、「お前達は福岡から来たのか?」と聞かれたそうです :D
自分の地域以外の言葉はそれくらい、判別が難しいのでしょう。笑っちゃいますよネ :D
そうですね、結構映画に登場しますよね。私が見た映画の中で、コリャ正真正銘、超弩級のアラバマ弁だわ、と思ったのが「Crazy in Alabama」に登場する主人公の男の子。こいつぁ、ホントすごいアラバマ弁。結構イイ映画でした。
大学時代の笑い話ですが、私のいた青森県の弘前大学から何人かが鹿児島に学会に出席するために出かけました。夜、飲み屋で彼らが大声で津軽弁で話をしていたら隣の席の知らない人がツカツカと寄ってきて、「お前達は福岡から来たのか?」と聞かれたそうです :D
自分の地域以外の言葉はそれくらい、判別が難しいのでしょう。笑っちゃいますよネ :D
ウェールズに旅行に行った時、田舎の宿を電話で予約するのに苦労しました。宿のおじちゃん、おばちゃんはとても親切で良いところでしたが、田舎っぽーい訛りですよね。
スコットランド、アイルランドの訛りもなかなか。。。
IT業界だと、インド英語や中国系の英語を聴く機会が多いですが、こっちも向こうもノンネイティブで訛っているので、電話会議やテレビ会議では理解度が互いに70~80%くらいで、思いのほか意思疎通が図れておらず、困ってしまいます。
スコットランド、アイルランドの訛りもなかなか。。。
IT業界だと、インド英語や中国系の英語を聴く機会が多いですが、こっちも向こうもノンネイティブで訛っているので、電話会議やテレビ会議では理解度が互いに70~80%くらいで、思いのほか意思疎通が図れておらず、困ってしまいます。
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surgeon24hrs
at 2010-06-05 23:20
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ゆかちんさん、おはようございます。
ウェールズに行かれたことがあるのですか? あまり日本から訪れる方が多いところでは無いので、ビックリ! 私はウェールズの首都、カーディフという街にすんでいました。もう22年もまえの話です。
ITはインド人が多いと聞いていますので、そりゃたいへんでしょうね。アメリカではコンピューター関連の無料サポセン番号にかけると、実はアメリカではなくてインドに掛かっていてインド人が対応している、という話を聴いたことがあります。今までに何回もサポセンと電話でやり取りしたことがありますが、向こうも私の訛りに困っていたことでしょう :D
ウェールズに行かれたことがあるのですか? あまり日本から訪れる方が多いところでは無いので、ビックリ! 私はウェールズの首都、カーディフという街にすんでいました。もう22年もまえの話です。
ITはインド人が多いと聞いていますので、そりゃたいへんでしょうね。アメリカではコンピューター関連の無料サポセン番号にかけると、実はアメリカではなくてインドに掛かっていてインド人が対応している、という話を聴いたことがあります。今までに何回もサポセンと電話でやり取りしたことがありますが、向こうも私の訛りに困っていたことでしょう :D