いったい彼らは.......

( Farmer's Market, San Francisco, California )





恐ろしきことに、本日で馬齢を重ねること50年となった。しかしこの年になろうとも、精神的には30歳前半くらいのつもりでいるのだから、往生際が大変によろしくない。

アメリカでは成人の10年毎の誕生日を盛大に祝う風習がある。 とりわけ50歳の時には
「Over the Hump」など称して、黒いバルーンなどが飾られる。つまり山のピークを越えて、これからは一気に下り坂と言うことか。

先日より職場の人々から、今日はお祝いのランチを用意してくれる旨、聞かされていた。ところがそうは問屋が卸さない。予定が立てられないのがこの業界の常識。ランチを目前に控えた時間に緊急手術が入り、お祝いランチどころではなくなってしまった。

それでも用意してくれたケーキだけは見ることが出来た。手術室の女性ナースは、ビキニの女性のトルソーのケーキ。驚いたのは男のナースまでケーキを用意していたことであった。しかし、どんなケーキだったかを公共の場で説明するのは、憚れる。要するに男性の右腿と左腿の間に鎮座している器官の形をしたチョコレートケーキであったのだ。

ビキニのトルソーにせよ、あのチョコレートケーキにせよ、一体彼らは普段私をどのように見ているのだろうかと、私は大変な不安に陥った。

ICUの秘書からもケーキを頂いた。こちらは墓石のような形をしていて、OVER THE HUMPと書いてあった。この手のものは良くある他愛の無いものなので、別段意外性は無い。しかしこれで、仕事で毎日顔を合わせているというのに連中は私のことを全く理解していないことが本日明らかになった。私はかなり以前より、衆人とは異なり120歳まで生きることに決めているので、50歳はまだその半分にも満たない。したがって少しも「Over the Hump」ではないのだ。

目標とする120歳まであと残すところ70年。まだまだ先が長い。