2008年 08月 22日
熱く宗教を語ろう! |
( Canon F-1, FD50mm F1.4, RXP )
日本ではお盆休みも終わり、すべてが再び平常に戻った頃であろうと察する。やはり休みはうれしいものだ。特に連休とくれば理由が何であろうが、私のかまった事ではない。何でも祝ってやろうではないか、といつにも増して鷹揚な気分になってくる。
連休をこよなく愛する私としては、ここは一つキリスト教でも是非お盆とそれにかかわる連休を取り入れていただきたいものである、と痛切に願うのだ。
さて、以下の話は私の創作ではなく実話である。
東京のお盆は旧盆、すなわち7月13日から16日である。8月のお盆休みより一月早くやってくる。T家は都内のある大変に有名なお寺の檀家である。T家の御祖母様が無くなった際に、私も通夜と葬儀に出席させていただいた。驚いたのは、通夜および葬儀を執り行なった僧侶の数である。お経が独特のハーモニーを伴って朗々と詠唱されている間、私は顔を下に向けて合唱したまま、眼球だけを目蓋に痛みが走るほど可能な限り上向きにして祭壇を伺った。僧侶の数、何と19人。これほど多くの僧侶のいる通夜や葬儀は、後にも先にも見た事がなかった。さぞかし多くの費用がかかった事だろうと、私は不謹慎にも感心してしまった。
T家にお寺から、電話が入った。お盆の法要の日程の打ち合わせである。お寺から僧侶が7月12日の朝7時半に来る、という内容だった。朝の早い僧侶にとっては朝の7時半など、一般人の正午に等しいのかもしれない。
T家では、即座にこれは変だと気が付いた。言うまでも無く死者の霊が7月13日から16日に家に帰ってくるのがお盆であるから、僧侶にはこの間に家に来てもらわなくては意味が無い。T家の返事は大変論理的であった。お迎え火を炊く前に来るのはおかしいのではないかとお寺に伝えた。お寺からの返答は「では、お迎え火を11日に炊いてください」。
死者の霊も家に帰る日程を、お寺の都合に合わせなくてはならないご時勢になってしまった。人間死んでからも、しっかりとスケジュール管理をしなくてはならないようである。
次の話も、やはり実話である。
Y家はT家同様、都内の大変有名なお寺の檀家である。先のT家とは別のお寺である事は、明記しておく必要があるであろう。約10年前になくなられた御祖母様は大変熱心な方で、お寺には多くの寄進をしていたと伝え聞いている。御祖母様の戒名をいただくときには、お寺の方でも「生前には大変に功徳をつまれましたので….」と言ったという。これを現代語訳にすると、”ヘイ、ベイビー、生きている間にいっぱい金くれたから戒名は少し安くしといてやるぜ、イェー” ということだ。普段からこまめに金を払っていれば、早朝でなくても割引が適応になるらしい、ということを私は初めて知った。
御祖母様が亡くなられた後も、Y家には毎年同じ僧侶がお盆に来てくださっていた。今となっては、そのお付き合いはかれこれ何十年という長きに渡るに至った。今年Y家の主人夫婦が、いざと言うときに備えるために生前に戒名をお願いしようと思っている、と僧侶に話した。すると僧侶はニッコリと微笑み「Y家でしたら、お高いのにしていただかないとこまります」と言って一人500万円を匂わせたという。僧侶が歩合制で給料をもらっているのかどうかは知る由も無いが、僧侶の世界でもセールスの成績は我々俗人達が思っている以上に大切なようである。
お盆のお経が終わり僧侶が帰った後で、Y家では密かに重大な方針変更が決定された。戒名はいらない、と。
嗚呼、地獄の沙汰も金次第。
by goodsurgeon24hrs
| 2008-08-22 17:47
| 日常
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Comments(2)
goodsurgeon24hrsさん こんにちわ。
ボクの友達に住職をしているヤツがいまして、そいつのところに遊びに行きます。
寺の本堂をよこぎって友達の部屋に上がっていくと、そこは映画のアメリカングラフティーの世界。お寺の和の世界とのギャップがすごいです。その友達と話していると、住職としての功徳を説く立場と経営者としての立場が入り交じっていて、ある意味大人の世界の最たるもののような気がします。
お坊さんといえども、欲しいものもあれば食べたいものもある。
趣味が一緒で欲しいものがボクとかぶっていたときの友達の一言
「盆明けの坊主の威力を見ておけ!!」
ボクの友達は非常に人間くさい坊主です。(笑)
matu
ボクの友達に住職をしているヤツがいまして、そいつのところに遊びに行きます。
寺の本堂をよこぎって友達の部屋に上がっていくと、そこは映画のアメリカングラフティーの世界。お寺の和の世界とのギャップがすごいです。その友達と話していると、住職としての功徳を説く立場と経営者としての立場が入り交じっていて、ある意味大人の世界の最たるもののような気がします。
お坊さんといえども、欲しいものもあれば食べたいものもある。
趣味が一緒で欲しいものがボクとかぶっていたときの友達の一言
「盆明けの坊主の威力を見ておけ!!」
ボクの友達は非常に人間くさい坊主です。(笑)
matu
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by
surgeon24hrs
at 2008-08-25 00:35
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matuさん、こんにちは。
やはり何でも、生活してゆくための職業ですから、きれいごとばかりでは済まないのは当然ですよね。
「盆明けの坊主の威力を見ておけ!!」は、笑えますね。人間くさくないお坊さんには、煩悩が分からないのでしょうから、それもいいんじゃない。
たとえばバチカンのローマ法王なども、世界規模で営業に苦慮するのでしょうね。多国籍企業のCEOと言うところかな。
やはり何でも、生活してゆくための職業ですから、きれいごとばかりでは済まないのは当然ですよね。
「盆明けの坊主の威力を見ておけ!!」は、笑えますね。人間くさくないお坊さんには、煩悩が分からないのでしょうから、それもいいんじゃない。
たとえばバチカンのローマ法王なども、世界規模で営業に苦慮するのでしょうね。多国籍企業のCEOと言うところかな。