2015年 09月 25日
弔いと敬い |
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アメリカ生活も長くなり、今まで何人かの葬儀にも出席した。
南部ではキリスト教が圧倒的な勢力を占めている。かつて住んでいたオハイオでは、ユダヤ教徒が多かった。
キリスト教でも宗派によって葬儀にも色々違いがあるようだが、詳しいことは私にはわからない。ただ出席して、神妙な顔をしているだけである。
日本人の感覚では、葬儀なのだから喪服ないしは黒を基調とした服装をしなくてはならないと思うのであるが、おっとどっこい。見渡すと、黒以外にも赤だの黄だのピンクだのと言った派手な色彩も多々見受ける。おまけにおよそ葬儀には似つかわしくないカジュアルな格好、例えばポロシャツとかワークシャツで来ている人もいる。
葬儀が済むと、埋葬のために墓地へ向かう。個人主義のアメリカは、死んでからも個人主義を貫くことが多く、ほとんどは個人の墓だ。日本のように家の墓ではないことがほとんど。
葬儀から墓所までは車での移動となるが、ここでも個人主義。マイクロバスを仕立ててとか、何人かで乗用車を乗り合いで、と言うことはない。それぞれが個人の車でそれぞれ運転して行く。したがって車には一人か夫婦二人程度のみ。墓所へ向かう車の列は必然的に長くなる。
酋長や部族の長老などの弔いで葬列の車がかなり長く場合には、パトカーが同伴する。先導すると言うのではなく、数台のパトカーが先に後に、はたまた中程にと、縦横無尽に動き回る。交差点ではパトカーが他の車をブロックして、葬列の車だけを赤信号であろうがなんであろうが、とにかく流して、列から離れる車がないようにする。その辺りの運転技術や交通整理のノウハウには、いつも感心させられる。俗であるが、実に格好いい。
北部のオハイオ州にはなかった習慣だが、ここアラバマでは葬列の車が通る時には、他の車はたとえ反対車線であろうとも一斉に止まり、その中を葬列の車の列だけが粛々と通って行く。オハイオからアラバマに引っ越してきた時は、この習慣を知らなかったので何故他の車が一斉に止まるのかが理解できなかった。
知人に聞いたところ、なんでも死者をに敬意を表するためであるとか。
ほほう、アメリカ人でも南部にはそのような、死者を敬うような概念があるのか!
見直したゼ、ベイビー!
<読了>
「ローマ人の物語 8 ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) 」 塩野七生
" Hasselblad Manual " Ernst Wildi 1995年
「二眼レフワークショップ」 田中長徳
" Rollei Way " L. A. Mannheim 1965年
by goodsurgeon24hrs
| 2015-09-25 21:18
| 日常
|
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Comments(14)
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N-styel at 2015-09-26 11:54
所変わればですね〜〜!確かに個人のお墓…そうですね!
こちらでは、家族の単位も小さくなったせいか、お墓も維持していくのが難しい時代になり、手放しているケースも増えているようです。
法事も簡略化されてきてますし、実際、お墓の管理というのも、次世代を担う子供が少ないからでしょうね。
最近、本当に思います…幼い頃に当たりだと思えた事が、今では珍しくなってきたり…淘汰されてくる習慣が多いように感じます…。
葬儀も年配になればなるほど、家族葬としてごく身内だけで取り行うのが多くなりました。
それにしても…ピンクの礼装とは…すごいですね〜〜( *´艸`)
こちらでは、家族の単位も小さくなったせいか、お墓も維持していくのが難しい時代になり、手放しているケースも増えているようです。
法事も簡略化されてきてますし、実際、お墓の管理というのも、次世代を担う子供が少ないからでしょうね。
最近、本当に思います…幼い頃に当たりだと思えた事が、今では珍しくなってきたり…淘汰されてくる習慣が多いように感じます…。
葬儀も年配になればなるほど、家族葬としてごく身内だけで取り行うのが多くなりました。
それにしても…ピンクの礼装とは…すごいですね〜〜( *´艸`)
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kurashiki-keiko at 2015-09-27 00:07
よく映画でもお墓のシーンは見かけますが、葬列がそんなことになっているとは初めて知りました。対向車線の車まで止まるとは。また、バスを仕立てて親族たちが乗るというのはやっぱり日本ならではなのでしょう。さすが広いアメリカ、墓地も、墓地の駐車場もきっと広いのでしょうね。
家族葬に関しては私は近頃の風潮には反対です。家族だけでひっそりと執り行いたい気持ちもわからないではないですが、最後のお別れをしたかった人を排除していること、また後から後から自宅に弔問に来られる人がいたりで、一度に世間に知らしめることは大事だなと、私の個人的経験からは閉口しました。
家族葬に関しては私は近頃の風潮には反対です。家族だけでひっそりと執り行いたい気持ちもわからないではないですが、最後のお別れをしたかった人を排除していること、また後から後から自宅に弔問に来られる人がいたりで、一度に世間に知らしめることは大事だなと、私の個人的経験からは閉口しました。
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すみれ
at 2015-09-27 04:56
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彼岸花も見頃を終え、金木犀の香りも日に日に増して来ました。
秋です。
子供の頃、霊柩車に歯を見せると、歯が腐ると祖母に言われ、ギュッと口を結んだものです。
お国が変わっても、同じように「死者に対する敬意」は変わりないようですね。
父の葬儀の時、普段着のままで、子供さんからお年寄りまで多くの人が送って下さいました。
R1という交通量の多い中、見知らぬドライバーも右左折には譲って下さり、嬉しかったですねぇ。
何事も一長一短、その時の判断でよしと思い済ませて来ましたが、近くそれを考えねばならぬ時がやって来ました。
色々な宗教の葬儀、地方の慣習に出会って来ましたが、根本はどちらも変わりないですねぇ。
祖母の迷信の教えではありますが、これもいいものでしょう?
秋です。
子供の頃、霊柩車に歯を見せると、歯が腐ると祖母に言われ、ギュッと口を結んだものです。
お国が変わっても、同じように「死者に対する敬意」は変わりないようですね。
父の葬儀の時、普段着のままで、子供さんからお年寄りまで多くの人が送って下さいました。
R1という交通量の多い中、見知らぬドライバーも右左折には譲って下さり、嬉しかったですねぇ。
何事も一長一短、その時の判断でよしと思い済ませて来ましたが、近くそれを考えねばならぬ時がやって来ました。
色々な宗教の葬儀、地方の慣習に出会って来ましたが、根本はどちらも変わりないですねぇ。
祖母の迷信の教えではありますが、これもいいものでしょう?
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maou2929 at 2015-09-27 16:48
自分は先日、親と兄貴の入る墓参りに行って来ました。
日本とアメリカではこんなトコでも違いが有るんですね。
服装まで自由だとはちょっと驚きですね。
よくアメリカ映画ではサングラスを皆さんかけて参列していますけどあれはどういった意味があるのでしょうか!?
正装の中にサングラスはOKなのですか?
今日本は、墓が高いので中々買うこと(実際は、権利と言うか)が出来ず最近では、
ビル全体がお墓というのは出てきてお墓参りをしたい時は、出して行うみたいですよ。ホントビックリですよ。
のしても意外なとこにアメリカ人の死者を敬う行為が分かってそれもちょっとビックリですねぇ。
日本とアメリカではこんなトコでも違いが有るんですね。
服装まで自由だとはちょっと驚きですね。
よくアメリカ映画ではサングラスを皆さんかけて参列していますけどあれはどういった意味があるのでしょうか!?
正装の中にサングラスはOKなのですか?
今日本は、墓が高いので中々買うこと(実際は、権利と言うか)が出来ず最近では、
ビル全体がお墓というのは出てきてお墓参りをしたい時は、出して行うみたいですよ。ホントビックリですよ。
のしても意外なとこにアメリカ人の死者を敬う行為が分かってそれもちょっとビックリですねぇ。
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surgeon24hrs
at 2015-09-28 01:40
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Naoさん、こんにちは。
こちらは遺体は豪華な棺桶に入れて土葬の場合が多いので、「家」の墓にするのは難しいかもしれません。最近では、火葬も少しづつですが、増えているとも聞いています。
確かに少子化で、お墓の維持が難しいということはあるでしょうね。そのほかにも仕事や様々な理由で、住む場所がお墓の場所とは異なるという場合もあるでしょうしね。昔のように、先祖代々の土地に住み着くという事がすくなってきていると思います。
以前にテレビでフォード元大統領の葬儀を見たのですが、やはり女性では赤などの派手な服で参列してる人が結構いました。
こちらは遺体は豪華な棺桶に入れて土葬の場合が多いので、「家」の墓にするのは難しいかもしれません。最近では、火葬も少しづつですが、増えているとも聞いています。
確かに少子化で、お墓の維持が難しいということはあるでしょうね。そのほかにも仕事や様々な理由で、住む場所がお墓の場所とは異なるという場合もあるでしょうしね。昔のように、先祖代々の土地に住み着くという事がすくなってきていると思います。
以前にテレビでフォード元大統領の葬儀を見たのですが、やはり女性では赤などの派手な服で参列してる人が結構いました。
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surgeon24hrs
at 2015-09-28 01:46
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kurashiki-keikoさん、こんにちは。
アメリカとは言っても広いので、土地によって習慣が異なるようです。本文にも書きましたが、オハイオではほかの車が止まったりすることはありませんでした。アラバマでは葬儀の車列を通すために他の車は止まらなくてはならない、というような法律があるわけではないのですが、習慣としてやられています。
家族葬、最近は多いようですね。葬儀は家族のみでおこない、その後にゆかりの方々をお招きして「偲ぶ会」を催す、というのがいいかもしれませんね。
アメリカとは言っても広いので、土地によって習慣が異なるようです。本文にも書きましたが、オハイオではほかの車が止まったりすることはありませんでした。アラバマでは葬儀の車列を通すために他の車は止まらなくてはならない、というような法律があるわけではないのですが、習慣としてやられています。
家族葬、最近は多いようですね。葬儀は家族のみでおこない、その後にゆかりの方々をお招きして「偲ぶ会」を催す、というのがいいかもしれませんね。
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surgeon24hrs
at 2015-09-28 02:20
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すみれさん、こんにちは。
日本はお彼岸が終わった頃でしたね。これですっかり秋の訪れを実感することになりますね。
私のところでは、霊柩車を見たら両手の親指を中に入れて拳を握らないと親が死ぬ、と言う事が言われていました。当時は、いまではすっかり見なくなった宮型霊柩車でした。
私自身も50代半ばとなり、両親をはじめ多くの親類も鬼籍に入りました。葬儀でも宗派や土地の違いで、「へー、そんなことするんだ」と感心することもしばしばあります。
日本はお彼岸が終わった頃でしたね。これですっかり秋の訪れを実感することになりますね。
私のところでは、霊柩車を見たら両手の親指を中に入れて拳を握らないと親が死ぬ、と言う事が言われていました。当時は、いまではすっかり見なくなった宮型霊柩車でした。
私自身も50代半ばとなり、両親をはじめ多くの親類も鬼籍に入りました。葬儀でも宗派や土地の違いで、「へー、そんなことするんだ」と感心することもしばしばあります。
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surgeon24hrs
at 2015-09-28 02:28
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魔王さん、こんにちは。
お彼岸の墓参に行かれたのですね。彼岸が過ぎると、もうすっかり秋という気分になりますね。
確かに映画などでは、黒い喪服ですね。でも実際には、男性はともかくとして、女性では結構派手な色合いの人もいっぱいいます。
ビルのお墓、テレビで見たことがあります。あとはネット墓参。ログインすると、ビル内で祀ってあるところが24時間好きな時にネット上で観ることができる、と言うもの。でも、例えば夜中にふと起きた時に、「そうだ、お墓を見よう」と思うことって、あるかなぁ? それにしても、色々と奇妙な商売がありますね。
お彼岸の墓参に行かれたのですね。彼岸が過ぎると、もうすっかり秋という気分になりますね。
確かに映画などでは、黒い喪服ですね。でも実際には、男性はともかくとして、女性では結構派手な色合いの人もいっぱいいます。
ビルのお墓、テレビで見たことがあります。あとはネット墓参。ログインすると、ビル内で祀ってあるところが24時間好きな時にネット上で観ることができる、と言うもの。でも、例えば夜中にふと起きた時に、「そうだ、お墓を見よう」と思うことって、あるかなぁ? それにしても、色々と奇妙な商売がありますね。
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voyagers-x at 2015-09-28 11:26
おはようございます!!
風習って国によってかなり違いますね。日本の場合は仮想してしまうので、何となく争議が終わったあとすっかりと忘れてしまいがちになるような。土葬の方がほんとに静かに眠っていると感じます。意識の問題なのでしょうけど。でも、狭い日本では土葬は難しいかな。
風習って国によってかなり違いますね。日本の場合は仮想してしまうので、何となく争議が終わったあとすっかりと忘れてしまいがちになるような。土葬の方がほんとに静かに眠っていると感じます。意識の問題なのでしょうけど。でも、狭い日本では土葬は難しいかな。
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Neoribates at 2015-09-28 19:17
慶弔関係はほんとに習俗の違いで,びっくりすること多いですね.国内でもへぇ~ってのがありますもの.
実際は知りませんが,映画などで見ると存外に葬儀でもドライというか,合理的というかそんな感じを受けるのはやはりアメリカというお国柄のようですね.
実際は知りませんが,映画などで見ると存外に葬儀でもドライというか,合理的というかそんな感じを受けるのはやはりアメリカというお国柄のようですね.
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surgeon24hrs
at 2015-09-29 02:15
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voyagers-xさん、こんにちは。
風習の違いというのは、本当に面白いというか興味深いですね。ことアメリカに関して言えば、どちらかというと南部の方が古い習慣を引きずっているようです。英語の古い表現なども南部弁にかなり残っていると聞いたことがあります。
こちらは土葬なので、かなり前の殺人事件の再捜査に墓を掘り起こしてDNA捜査、などと言うことも行われる場合があるようです。火葬じゃ、そうはいきませんもんね。
風習の違いというのは、本当に面白いというか興味深いですね。ことアメリカに関して言えば、どちらかというと南部の方が古い習慣を引きずっているようです。英語の古い表現なども南部弁にかなり残っていると聞いたことがあります。
こちらは土葬なので、かなり前の殺人事件の再捜査に墓を掘り起こしてDNA捜査、などと言うことも行われる場合があるようです。火葬じゃ、そうはいきませんもんね。
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surgeon24hrs
at 2015-09-29 02:20
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Neoribatesさん、こんにちは。
狭い日本の中でも、慶弔の風習には地方によって大きな違いがありますもんね。ましてや広大な土地に多民族が多くの異なった宗教を信じて生きている国なので、色々と違いがあって当然なのでしょう。私は外国人としての目で見ているので、色々と興味が尽きません。
こちらは日本と違って「家」を軸にして関係が連綿と連なる異は稀なようなので、故人本人を偲ぶという感じです。そうなるとやはり合理的になるのでしょうかね。
狭い日本の中でも、慶弔の風習には地方によって大きな違いがありますもんね。ましてや広大な土地に多民族が多くの異なった宗教を信じて生きている国なので、色々と違いがあって当然なのでしょう。私は外国人としての目で見ているので、色々と興味が尽きません。
こちらは日本と違って「家」を軸にして関係が連綿と連なる異は稀なようなので、故人本人を偲ぶという感じです。そうなるとやはり合理的になるのでしょうかね。
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swingphoto at 2015-10-01 18:31
日曜日ハーレムでぶらついていた時も、
彼らが敬虔なクリスチャンであることを
まざまざと見せつけられました。
というか、どこの国を歩いていてもそのように感じることが多いです。
それに反して、今の日本人は
世界で最も無宗教な国民なのではと疑うほどですね。
彼らが敬虔なクリスチャンであることを
まざまざと見せつけられました。
というか、どこの国を歩いていてもそのように感じることが多いです。
それに反して、今の日本人は
世界で最も無宗教な国民なのではと疑うほどですね。
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surgeon24hrs
at 2015-10-01 23:25
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swingphotoさん、おはようございます。
無事帰国されたようで、何よりです。お疲れ様でした。
人種の坩堝(るつぼ)などと言っても、やはりキリスト教徒が多いですね。
宗教と政治の話はするなと言いますが、私の個人の意見としては、日本やローマ帝国(古すぎ!)のような多神教の方が、一神教よりもよいのではないのかと。一神教はなにかと、紛争の元になりますね。
無事帰国されたようで、何よりです。お疲れ様でした。
人種の坩堝(るつぼ)などと言っても、やはりキリスト教徒が多いですね。
宗教と政治の話はするなと言いますが、私の個人の意見としては、日本やローマ帝国(古すぎ!)のような多神教の方が、一神教よりもよいのではないのかと。一神教はなにかと、紛争の元になりますね。